インシデント管理とは?
問題管理との違いと管理フローについて

  • HOME
  • コラム一覧
  • インシデント管理とは?問題管理との違いと管理フローについて

インシデント管理とは?問題管理との違いと管理フローについて

インシデント管理という言葉をご存知ですか?そもそもインシデントとは、少し間違えれば大事になりかねない、ちょっとした異変や事態を指しており、主に、警備・航空・医療福祉といった人命の安全に関わる業界で用いられる言葉です。そんな一歩間違えれば重大な事故が発生しかねない業種では、少しでも業務上のリスクを減らし、顧客に対してより質の良いサービスを提供するために、インシデントをしっかりとデータとして蓄積し、管理することが求められるのです。

本稿では、そんなインシデント管理について解説するとともに、混同されがちな問題管理との違いやインシデント管理の具体的なフローについてご紹介します。

インシデント管理とは

インシデント管理とは

インシデントとは、ヒヤリハットとも表現され、一歩間違えれば重大な事件に繋がりかねない出来事を指しています。こういった事態に迅速に対処して影響を最小限に押さえるためのプロセスがインシデント管理と呼ばれています。

よく勘違いされる部分ですが、インシデント管理の目的はあくまでも目の前のトラブルを直ちに取り除いて正常な状態へと戻すいわば応急処置をすることです。例えば、医療福祉の現場を想定してみましょう。高齢の入居者が施設を移動中に転倒するというトラブルが発生したとします。

その際にトラブルの原因となった事象を究明し「転倒した廊下は滑りやすいから今後は壁に手すりを設置しよう」といった対応をすれば、今後の再発防止には繋がるでしょう。しかし、それでは現時点で発生しているトラブルに対処することができていません。大切なのは、一時的にでもトラブルを素早く解消することで、このケースで言うならば転倒した方の怪我の有無を確認し、必要ならば手当をして助け起こすことなのです。
このように、インシデント管理はその場で発生したトラブルに素早く対処し、正常な状態へと戻すことが目的となるため、根本的な問題解決には必ずしも繋がらないということは認識しておきましょう。

インシデント管理と問題管理の違い

インシデント管理と問題管理の違い

インシデント管理と似た意味の言葉として「問題管理」という言葉があります。時に、両者の意味は混同されることがありますが、厳密には異なる意味を持っています。インシデント管理が目の前のインシデントを直ちに取り除いて応急処置をすることが目的なら、問題管理とはインシデント管理から一歩すすんだ概念で、発生したインシデントから原因を探って対策を見つけ、同様の事象が二度と起こらないようサービスや業務の質を改善することが目的です。インシデント管理を応急処置とするなら、問題管理は恒久対策と表現できるでしょう。

応急処置と表現しているように、インシデント管理は日々発生するインシデントへの一時的な対策を蓄積していくもので、根本的にインシデントの発生を防ぐことはできません。しかし、インシデント管理でノウハウを蓄積していくことで、根本的な問題を解決するにはどうすればいいかも徐々に見えてきます、インシデント管理と問題管理は業務上のトラブルの数を減らしていくためにどちらも必要不可欠な概念なのです。

インシデント管理のメリット

インシデント管理のメリット

インシデント管理と問題管理の違いをご理解いただけたところで、インシデント管理の具体的なメリットについて解説します。

情報共有・ナレッジ化

過去のインシデントを蓄積・管理しておくことで、過去の対処法をナレッジとして学ぶことができます。それによってインシデントに対応する担当者による能力のバラツキといった業務の属人化状態を解消することも期待でき、業務効率の上昇に繋がるでしょう。

顧客満足度の上昇

インシデントは事の次第によっては対処に時間がかかったりすることがあり、それが二次的被害を生む可能性もあります。そういった事態の対処に慣れているプロフェッショナルがその場にいれば良いですが、そうでないこともあるでしょう。そういった時に、過去に発生したインシデント情報を管理していれば突発的に起きたトラブルに対しても、過去の情報を参照してスピード感を持って対処できるようになるため、サービスを受ける顧客の満足度を上げることができます。

サービス改善に繋がる

インシデントやその対応に関する情報を蓄積することで、インシデント対応に関する業務が徐々に効率化していきます。それにより、インシデントの分析や原因究明などより重要な業務に時間を費やすことができますし、蓄積されたデータによってサービス自体の問題点も明らかになっていくため、最終的には自社の提供するサービスの改善に繋げられます。

インシデント管理のよくある課題

インシデント管理のよくある課題

インシデント管理は企業のサービスを正常に運営していくためにも必要なことです。発生したインシデントに対応していくためにもインシデント管理を行う上で気を付けておくべき3つの課題を紹介します。

同じインシデントを繰り返してしまう

同じインシデントが再発した時に過去蓄積された情報を利用して、より早くインシデントに対応すること、そしてそういった情報を元に最終的には同じインシデントが繰り返されないようにすることがインシデント管理の目的です。情報の蓄積や共有を怠ると、同じインシデントを繰り返す原因となるため、蓄積や共有までのワークフローや業務担当者をあらかじめ定めておくことが大切です。

「インシデント管理」と「問題管理」の違いを理解できていない

インシデント管理の目的は応急処置、問題管理の目的は恒久対策です。つまり、インシデント管理には対応までのスピードが求められ、問題管理には問題を解決に導いた数が指標となります。スピード感が必要とされるインシデント対応において、そこをはき違えていると、原因解決に時間を割いてしまい対応までのスピード感が損なわれます。インシデントが発生したときは、まずインシデントの解決を最優先し、インシデントが発生していない平常時には過去に発生したインシデントの分析をすることで、原因の解決に努めていくといいでしょう。

インシデントに対応できる社内体制が整っていない

発生したインシデントに適切に対応するためには、専門的な技術や知識といった高度なスキルを持つ人材を必要とします。しかし、要求されるスキルを持つ人材を数多く揃えている企業はごく一部な上、そういった情報や技術を共有しやすい環境も整っていません。
多くの企業では、インシデントは担当の少数の社員が対応し、それによって得た知見や技術は社内に周知されることもなく属人化されてしまいます。この状況では、インシデント管理の本来の目的は達成できません。ハイスキル人材を揃えることは難しくても、インシデント対応によって得られたノウハウを共有していくことはできるはずです。そういった社内体制を整えておくことで徐々にスキルを持つ人材が社内に増えていくことにも繋がるでしょう。

インシデント管理のフロー

インシデント管理のフロー

インシデント管理への理解が深まってきたところで、インシデント管理の大まかな流れを3つのフェーズに分けてご紹介します。一連の流れを理解し、インシデント管理を始めてみましょう。

1.インシデントの発生を確認

インシデント管理は、まずインシデントの発生を確認するところから入ります。どのようなインシデントが何時頃発生して、どの範囲まで影響しているのかといった細かいところまで確認します。インシデントへの対応はスピード感が大切なのですが、初動での調査や分析が不十分だと、対応を間違え予想もしない範囲にまで被害が及ぶ可能性がありますので、慎重に行う必要があります。

2.発生したインシデントへの対応

インシデントの内容について確認できたら対応策を検討・実行します。過去に発生したことのあるインシデントならデータベースを元に対応すれば問題はありません。しかし、想定外のインシデントで即時に解決できなければ、根本的な解決ではなかったとしても、業務やサービスが滞らないよう迅速に応急処置をしましょう。

3.情報の蓄積と共有

インシデントへの対応が完了した後は今回のインシデントについて振り返り、情報の記録と共有を行います。どういう事象が発生して、どういう風に対処したのかを情報として詳細に記録し関係者に共有します。また、万が一同様のインシデントが再発してしまった際、スムーズに対応できるように、事前に防止策やマニュアルを策定していき、根本的な問題解決が必要な場合はインシデント管理から問題管理へとフェーズを変更していきます。

インシデント管理にはITツールの導入がオススメ

インシデント管理にはITツールの導入がオススメ

さて、ここまでインシデント管理には情報の記録と共有が大切であると繰り返してきましたが、こういったインシデントなどの情報管理は主にExcelや紙で行われる場合が少なくありません。しかし、これらの管理手法には明確なリスクがあります。

例えば、Excelでは、情報共有の際に「ファイルのコピー」を繰り返すとどれが最新の情報なのか分からなくなることもありますし、ファイルに格納するデータ量が多くなると作業効率の低下を招きます。一方、紙による管理では、目当ての情報を探すことにすら、かなりの時間を費やさなくてはいけないため、スピード感の求められるインシデント対応には向きません。

なによりExcelや紙による管理の一番の問題点は、情報セキュリティの低さと言えます。紙は紛失のリスクが非常に高く、ExcelファイルはUSBメモリなどによる情報の抜出しも自在です。そういったことを踏まえると、インシデント管理に適したITツールを利用すれば、時間や場所に縛られることなくより素早い情報伝達ができ、過去のインシデント対応の履歴にもすぐにアクセス可能なので、インシデント管理業務の効率化にはITツールへの移行がオススメです。

インシデント管理なら『Shelter』

インシデント管理なら『Shelter』

最後に、情報の管理と情報共有に特化したWEBサービス『Shelter』をご紹介します。
『Shelter』は誰でも簡単に自社の業務に適したアプリを作成できる業務効率化ツールです。インシデント管理に関しても、情報の蓄積や共有といった基本的な機能はもちろん、ユーザーごとに詳細にアクセス権限を設定ができるため、情報セキュリティの面でも安心です。何より、ユーザー数無制限で月額15,000円(税別)なので同系のサービスと比較してもリーズナブルにご利用いただけます。

ご興味のある方は下記公式サイトから詳細をご覧ください。

《『Shelter』公式サイト》

まとめ

まとめ

ここまでお読みいただきありがとうございました。今回紹介した内容のまとめです。
インシデント管理は、突発的なインシデントが発生しサービスや業務が滞ってしまった際に即時に対応するためのものでした。一方、問題管理とはインシデントが起こる原因を特定し、その発生自体を抑えるために行われるものです。両者の違いを理解し、インシデント管理によってインシデント対応に関するノウハウを蓄積・共有した上で、根本的な原因を分析し、最終的な問題解決へ繋げていくことが大切です。また、ノウハウの蓄積や共有をするためには業務の効率性やセキュリティの問題を考慮してITツールを利用することも選択肢の一つと言えます。自社のサービスや業務の質が低下していることに悩まれている方はインシデント管理を始めてみてはいかがでしょうか。

人気記事

各種ご相談・お問い合わせはこちら

  • 資料請求資料請求
  • お問い合わせお問い合わせ
  • 電話0354058115